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長者原動物病院 スタッフコラム

犬に関すること
  • 2015年3月23日

犬の婦人科の代表的な病気「子宮蓄膿症」について

ぐったりした犬
今回は、犬の婦人科の代表的な病気、「子宮蓄膿症」についてお話します。少し難しい話も出てくるかもしれませんが、病気の症状や飼主さまに知って頂きたいことをまとめてみましたので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
「子宮蓄膿症」とは、子宮内膜が腫れると同時に細菌感染を起こし、子宮内に膿が溜まる病気です。
多くが、発情出血が見られた1~2か月後に発症します。子供を産んだ事のない、もしくは、何年もの間生んでいない高齢犬(6歳以上)で起こりやすい病気ですが、若くても発症することはあります。子宮内の細菌が出す毒素により全身状態が悪くなり、敗血症の状態になると、命に関わる危険な状態になることも少なくはありません。

原因

子宮と外界との連絡路である膣には、健康であっても、大腸菌・レンサ球菌・ブドウ球菌などの常在菌が存在しています。発情期には、子宮の入り口である子宮頸管が緩むため、子宮内に細菌の侵入が起こりやすくなります。普通は、子宮に細菌が侵入しても免疫の働きで撃退できるのですが、発情期頃は子宮の免疫バリアが低下するため、細菌が増殖しやすく、子宮蓄膿症を引き起こします。

症状

初期は、ほぼ無症状。(たまに食欲にムラがある程度)
次第に・・

  • 元気、食欲の減退
  • 吐き気
  • 多飲多尿
  • 発熱
  • 腹部膨満
  • 陰部の腫れ
  • 膿の排出(全ての症例で認められる訳ではない)

このような症状がある場合は、出来るだけ早く動物病院へ受診してください。

検査、診断

検査名 症状
血液検査 白血球数の増加
CRP(炎症マーカー)の上昇
内臓機能の低下 など
超音波画像診断 子宮に液体貯留がみられる
X線検査 拡張した子宮の有無
(正常な子宮は、X線像には現れない)

治療

外科的に卵巣・子宮を摘出することが、推薦される一般的な治療となります。
しかし、子宮蓄膿症では危険な全身状態になっていることが多く、一般的に行われる避妊手術よりも細心の麻酔管理と術前術後の管理が必要となります。
また治療が遅れると、敗血症に陥り、腎機能の低下やショック状態になりかなり危険な状態となります。
状態が悪すぎることで、手術は成功しても術後に命を落としてしまうこともあります。
手術なしで治療する場合、抗生物質と子宮を収縮させて膿を排泄させるようなホルモン剤を注射することになりますが、内科療法は治るまでに時間がかかることや、治らないこともあること、再発する可能性が高いなどのデメリットがあります。

予防

繁殖を望まないのであれば、避妊手術を受けておくことが予防につながります。
子宮蓄膿症は、早期発見・早期手術が大事となってきます。
普段の発情についてしっかり把握しておきましょう。(個体差があります)

  • 発情の時期(およそ年に2回)
  • 次の発情までの間隔
  • 発情の期間(2週間~1ヶ月程
  • 出血の量
  • 食欲や元気・・など

発情の様子がいつもと違う・・など感じたら、早めに動物病院に相談することを心がけておきましょう。

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