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長者原動物病院 スタッフコラム

検査について
  • 2015年2月20日

病理組織学検査について

こんにちは獣医師の藤本です。寒い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?わたくしは、南国宮崎より福岡に移っての初めての冬なので、日々心が折れそうになる毎日です。

さて、今回担当させていただく内容は、病理組織学検査についてです。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、病理組織検査とは、一体何なのでしょうか?

ぼくたち人間もワンちゃん猫ちゃんなどの動物たちも、心臓や脳や皮膚などの臓器によって形作られています。それら臓器もまた、決まった細胞が集合したものであり、ある一定のパターンをとりながら形作られています。例えば皮膚なら、表面に表皮細胞の層があり、その下に線維細胞などから成る真皮があり、その下に脂肪細胞などの皮下脂肪がありという感じです。

そして、病気が起こった時には、組織の中にも通常とは異なる変化が起こります。引き続き皮膚を例にとると、膿皮症という細菌感染の場合は表皮に好中球などの炎症細胞と細菌が見られ、アレルギーでは真皮でリンパ球、好酸球、肥満細胞などの細胞が見られるといった具合に組織のどこで何が起こったかということが病気により異なり、重要になってきます。つまり病理組織検査とは、それら組織の構造の変化を細胞レベルで捉え、病気を考えていくというものです。

アレルギーの犬の皮膚

左写真は、アレルギーの犬の皮膚で、真皮内(下側の薄ピンクの部分)に炎症細胞(青黒いつぶつぶ)が見られます。
では、どのような時に病理組織検査を行うかというと、例えば皮膚のしこり、おなかの中のできものを手術で取ったときなどに獣医さんから勧められて行うことが多いかと思われます。でもその必要性って正直わかりませんよね。次にそれをお話したいと思います。

病理組織検査でわかること
下はいずれも乳腺にできたしこりですが、病理組織検査を行ってみると、写真①は肥満細胞腫、写真②は乳腺癌、写真③は血管周皮腫という腫瘍でした。つまり、見た目には似ていても、全く違う結果がでる可能性があるということです。また、同じ乳腺の腫瘍でも良性のものは手術によって完治が見込めますが、悪性のものは術後に抗癌剤などの治療が必要になる場合もあります。要するに、きちんと診断をつけ今後の治療方針を決めるためには、病理組織検査をしたほうが良いということです。

肥満細胞腫・乳腺癌・血管周皮腫

病理組織検査と細胞診検査の違い
次に少し話が変わりますが、病院でよく行われる検査のひとつに、しこりなどを注射針でちょこちょこっと刺して調べる細胞診検査というものがあります。細胞診検査とは、その名の通り、主に細胞そのものを顕微鏡でみて診断を下す検査です。では病理組織検査と何が違うのでしょうか?
下は細胞診検査の顕微鏡写真です。

肥満細胞腫・乳腺腫瘍

写真④は肥満細胞腫、写真⑤は乳腺腫瘍のものです。これらはいずれも細胞診で診断がついたものです。じゃあ病理組織検査は必要なの?と思われるかもしれませんが、実は細胞診検査の大きなデメリットとしては、診断に結びつく細胞がとれない、また細胞そのものだけでは判断がつかないということが多々あるため、確定診断をつけるのが難しいということです。

また、腫瘍かどうかという大まかな区別をつけるのには便利な検査ですが、良性悪性の区別や進行度の判断はほとんどできません。なので、組織構造で判断する病理組織検査は、それらが判断できるというメリットがあります。ただ、デメリットとしては、組織構造で判断をするために、採取する検体にある程度の大きさが必要になります。そのため動物から取る際には、局所あるいは全身麻酔などの処置が必要になりますし、費用も細胞診より高くなります。

また、外注検査になりますので結果がでるまでに少し時間がかかるということが挙げられます。

以上、簡単に書きましたが、先生と相談して必要な際にはぜひ行ってくださいね。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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