まだまだ暑い日が続いておりますが、そんな夏が終わればやってくるのは秋!そう食欲の秋ですね。おいしいものがいっぱいあふれるこの季節、ついつい僕たちも食べ過ぎて気が付いたら体重が…なんてこと経験あるかと思います。
人では、肥満は腰痛や膝痛などの関節障害、脂肪肝やすい炎を促進したり、大腸がんや前立腺がん、乳がん、子宮がんなど、多くのがんのリスクを高めることが指摘されています。そんな肥満も今や動物でも問題となっており、米国では犬および猫の35%が肥満と報告されております。というわけで、今回はワンちゃん、ネコちゃんの肥満についての話です。
肥満と病気との関係
肥満は万病の元とはよくいいますが、ワンちゃんネコちゃんでも同じです。太ることにより関節、心臓など体のあちこちに負担がかかり、やがて病気へとつながります。
ある報告によると、犬では肥満になることで関節病、糖尿病になる危険が約4倍、3.5倍に上がり、猫では関節病、心臓病、糖尿病になる危険が約8倍、3倍、5倍に上がるそうです(Veterinary Focus Vol.24 2015)。
いずれも怖い病気なだけに注意したいものですね。
http://www.royalcanin.co.jp/ 参照
肥満を診断してみよう
肥満とは、体脂肪が健康もしくは正常な機能を障害するレベルまで蓄積された状態であり、理想体重の15~20%以上の増加を指すと言われます。しかし、実際に肥満を正確に評価することは困難であるため、僕たちはボディコンディションスコア(BCS)を使用し評価しています。
下の表をみて皆さんも評価してみましょう!なおBCS 3/5が適正な状態となります。
理想体重を計算しましょう
評価できたら、下の式で理想体重を推定しましょう
現在の体重(㎏)÷(理想体重%÷100)=理想体重(㎏)
例えば、体重10㎏の犬でBCS 5/5と判断できたら、理想体重の123%の状態なので、10㎏÷(123÷100)=10÷1.23=8.13㎏となります。
必要なカロリー量を計算してみよう
まず最初に安静時エネルギー必要量(RER)を求めます
RER = 30×(理想体重㎏)+70
続いて下の表を見ながら、1日必要カロリー量を求めます。
成長期 | |
---|---|
離乳期から生後4か月 | 3×RER |
4か月齢から1歳まで | 2×RER |
成犬 | |
---|---|
未避妊・未去勢の若い成犬 | 1.8×RER |
避妊・去勢犬 | 1.6×RER |
肥満傾向の犬 | 1.4×RER |
減量の必要な犬 | 1.0×RER |
減量をする場合は1日必要カロリー量の60~70%に制限します。
先程の体重10㎏のBCS 5/5の犬を例にすると、理想体重は8.13㎏なので RER=30×8.13+70=313.9 kcalとなります。
さらに肥満傾向なので、1日必要カロリーは 1.4×313.9=439.46 kcal
ダイエットするにはその70%なので、439.46×0.7=307.62 kcal が最終的な決定カロリーです。
減量に適した食事とは?
減量する際には、カロリーを制限しつつも必要な栄養素は摂取しなければいけません。
普通の食事を減らしてしまうと必要な栄養まで減ってしまう恐れがあります。減量用ペットフードは、脂肪の含有量を抑え必要な栄養の濃度を高めることにより、カロリーを抑えて必要な栄養が摂取できるよう設計されています。色んなメーカーさんから減量用のフードが出ていますので、その子の好みに応じて選ばれるといいかと思います。
ちなみに最初の画像は、オーストラリアの犬の散歩サービスの広告だそうです。このブルドッグの体をつまんで引っ張ると、切り離せるようになっていて、その裏側に連絡先が書かれています。
全部、剥がし終わると普通のブルドッグが現れるっていう仕組み。散歩させたらこんなにやせるよ!ってことですかね。おもしろいですね!
おいしい季節は肥満に注意〜その2〜 へつづく