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長者原動物病院の新着情報をお届けします。

SFTSとは?

最近のニュースで、重症熱性血小板減少症候群(SFTS:Severe Fever Thrombocytopenia Syndrome)という病気をよく耳にしませんか?この病気はマダニから感染し、発症すれば死に至ることもある恐ろしい病気です。日本でもSFTSが原因で複数の方が亡くなっています。今回はこの病気のお話をします。

SFTSってなに?

 SFTSは、2011年に中国で発表された新しいウイルスによるダニ媒介性感染症で、マダニによって媒介されます。日本では、猟犬やシカ、イノシシなどにおいて抗体を保有する個体が見つかっていますが、中国ではヒツジ、ウシ、犬、ブタ、ニワトリなど多種の動物において抗体だけでなくウイルスの遺伝子が検出されています。

※「抗体を保有する」とは?…病原体が感染したことで免疫が働き、体内に「抗体」が作られます。間接的に感染があったことを証明することになります。

感染経路は?

 主にSFTSウイルスを保有するマダニにかまれる事により感染します。日本には47種のマダニが生息しているとされ、現在までにフタトゲチマダニ、ヒゲナダマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニからSFTSウイルスの遺伝子が検出されています。日本ではフタトゲチマダニとタカサゴキララマダニがヒトへの感染に関与しています。

 

 

また最近の研究で、SFTSウイルスに感染し、発症している野生動物やネコ・イヌなどの動物の血液からSFTSウイルスが検出されています。人がSFTSウイルスに感染している動物の血液に直接触れたり、感染動物に咬まれたりなどした場合、SFTSウイルスに感染してしまう可能性があります。

 

~動物からSFTSが感染した事例~

例 ①
世界初!犬からの感染

厚生労働省は、徳島県で飼い犬から人に感染し、発症したと発表しました。ペットから人への感染が確認されたのは世界で初めてとのこと。
今年6(2017年)月、徳島県内の40代男性が飼っている4歳の雑種犬に、発熱や血便などの症状が出て、SFTSウイルスが検出されました。県や国立感染症研究所の調査で、飼い主の男性も同月、発熱や下痢などを訴え、1週間の点滴治療を受けていたことが判明。男性の血液からSFTSウイルスの感染を示す抗体が検出されました。
男性にマダニにかまれた痕跡はなく、感染研は男性が犬の世話をする中で唾液(だえき)が手に付着し、目などの粘膜を通じて感染した可能性が高いとみています。

例 ②
世界初!猫からの感染

厚生労働省は、野良猫にかまれた西日本に住む50代の女性が昨夏(2016年)、SFTSウイルスに感染し、死亡していたと明かしました。この女性は衰弱した野良猫にかまれた後にSFTSを発症し、その後亡くなりました。猫にはSFTSとみられる症状があり、また女性はマダニにかまれておらず、猫にかまれてSFTSを発症した可能性が高いとみられています。

 

SFTSの感染を防ぐためには?

  • とにかくマダニにかまれない!!

レジャーや散歩時に草むらや野山に行く際は、帽子や長袖長ズボンを着用し、肌の露出を避けましょう。また、帰宅後はマダニにかまれていないかチェックしましょう。
もしもマダニにかまれていた場合、無理に引き抜いたりせず、皮膚科で除去してもらいましょう。ペットをかんでいるマダニを見つけた場合も同様に、動物病院を受診しましょう。数週間は体調の変化がないか注意し、発熱等の症状があればすぐに医療機関を受診してください。

 

 

ペットにマダニが寄生するのを防ぐためにできることは?

 動物病院で処方される駆除薬を定期的に使用することが推奨されています。
駆除薬は首に垂らすスポットタイプや飲み薬タイプ(錠剤やチュアブルタイプ)があります。飼い主さんやペットのライフスタイルにあったものをおすすめいたしますのでご相談ください。
ペットへのマダニ寄生は、駆除薬を使って簡単に、確実に、安全に予防しましょう。

ところで、マダニはSFTSだけではなく、他の病気の媒介もします。体に数ミリのマダニがついても、見つけるのは至難の業…!!日頃からの感染防止・駆虫をしっかり行うことは、恐ろしい病気を防ぐ上で大変重要です。

参考:厚生労働省ホームページ