診断技術や治療成績の向上、飼主さんのフィラリア・ワクチン等に対する予防意識の向上、飼育環境の改善などにより、現在のペットの寿命は段々と伸びてきている傾向にあります。いつまでも、健康でペットと共に幸せに暮らすため、日頃からペットの健康な状態を知っておき、変化を素早く見つけることが大切です。
以下では、自宅で簡単にできるペットの健康管理方法、ボディチェックをご紹介します。
体全体にしこりや傷がないかチェックします。見ただけではわからないけど、触るとわかるということがありますので、日頃からスキンシップをするようにしましょう。以下は体の部位ごとのチェック方法です。
チェックポイント:目
健康な犬の瞳とは・・・
・瞳(角膜)は適度に潤いがある
・目やにが少ない
・目をパッチリ開けている
眼のチェック(異常サイン)
涙や目ヤニが多い。
膿状や白っぽい目ヤニが出る。
目をこする、かく。
上下のまぶたや瞬膜にしこりが出来ていないか?
瞳に潤いが無く乾燥している。
白目が赤く充血している。
白目が黄色っぽい。
眼球が白く濁っている。
左右の黒目(瞳孔)の大きさは?
眼をショボショボさせていないか?
痛がっていないか?
目の輝きや動き、目の周りなどをしっかりチェックします。目に異常が現れるのは、目の病気だけでなく、全身的な病気が原因のこともあります。
チェックポイント:鼻
健康な犬の鼻とは・・・
・ツヤツヤと光って、適度に湿り気がある
・さわるとヒンヤリする
鼻のチェック(異常サイン)
左右の形やバランスは?きれいな対称か?
表面は少し冷たく、適度な湿りで光沢があるか?
鼻血や鼻水、くしゃみは?
鼻水が多くないか?粘り気は?(水鼻?青鼻?)
チェックポイント:皮膚・爪
手やブラシで毛や体の表面を触りながら、皮膚炎や脱毛、しこり、ふくらみはないか、ノミ・マダニなどの寄生虫がいないかチェックしましょう。メスで乳腺にしこりがある場合は、乳がんの可能性があります。また、前脚の地面に接していない部分にある狼爪(ろうそう)が伸びすぎていないか、肉球や爪の間に何かが挟まっていないかもチェックしましょう。
チェックポイント:耳
健康な犬の耳とは・・・
・汚れもなくきれい
・臭いもほとんどない
・耳の内側は薄いピンク色で光沢があり、つるつるしている。
耳のチェック(異常サイン)
耳を振ったり、足で掻く回数が増えてないか?
耳を触ると痛みや、腫れたりしていないか?
耳の臭いは?
耳の表面は滑らかできれいか?
表面が赤くなってきたり、フケが出ていないか?
耳垢が多くないか?また耳垢の色が変化していないか?
耳のお手入れ
①専用のイヤーローションを耳の中に適量入れる
②よくマッサージする
③振らせた後、拭きあげる。
チェックポイント:口
健康な犬の口とは・・・
・口臭は少ない
・舌の色は赤く、歯茎もピンク色
・歯は白く輝いて、歯石も付いていない
・噛み合わせ、歯並びがきれい
口のチェック(異常サイン)
歯並び、噛み合わせは?
歯茎の色と舌の色は?
歯の表面に歯垢や歯石はついていませんか?
口臭がしませんか?
ヨダレが多くありませんか?
食べる時こぼしたり片方だけで噛むことはありませんか?
口の中に「できもの」がありませんか?
チェックポイント:お尻周り
おしり周りのチェック(異常サイン)
肛門周辺は汚れていないか?
腫れたり痛がったりしていないか?
お尻を擦り付けたり、盛んに舐めたりしていないか?
肛門周辺に硬いしこりはできていないか?(オス)
睾丸は2つあるか?左右同じ大きさか?
オリモノは出ていませんか?(メス)
チェックポイント:呼吸
健康な犬の呼吸とは・・・
・1分間の呼吸数:小型犬20~30回/分
:大型犬10~15回/分
・大型犬ではゆっくり、小型犬では速い
・犬の体温:37.5~39.0℃
呼吸のチェック(異常サイン)
興奮した時に咳がでていないか?また。咳の出方は?
呼吸が荒くないか?
運動や散歩を嫌がっていないか?
呼吸管理の重要なポイント
健康な状態での呼吸をよく把握しておきましょう
■速い呼吸
運動後の一時的なものは正常。理由もなく速い呼吸になる場合は要注意
■浅い呼吸
速い呼吸をして酸素補給を補う。痛みによっても起こることあり
■熱が出ていないか?
呼吸数と体温は関係性あり
■苦しそうな呼吸(ヒューヒュー音)
確実に危険性の高い呼吸。
■喘鳴音(ゼーゼー音)と咳
肺や気管支に重度のアレルギー疾患や炎症、刺激がある状態
上記のような症状があるとき、気道疾患、心不全、肺疾患、胸腔内の液体貯留、横隔膜破裂(ヘルニア)などの疑いがあります。急いでかかりつけの動物病院で診断してもらいましょう。
チェックポイント:排尿
尿の色は?(血液が混ざってはいないか?)
頻繁に少量のおしっこをしないか?
尿が濁ったり、臭いがきつくないか?
尿が出にくくないか?
尿の量が極端に増えていないか?
チェックポイント:排便
1日の排便回数、量は?
便の形は?
便の色は?
便の臭いは?
排便時にしぶりは?
便に寄生虫や異物が出ていないか?
お尻やお腹を気にしていないか?
排便時に出血や粘膜がでていないか?
チェックポイント:動作
食餌を必要以上に欲しがらないか
水をたくさん飲むようになっていないか?
動きは滑らかか?
特定の肢を気にしたり、舐めたりはしていないか?
尿の量が極端に増えていないか?
チェックポイント:関節
前肢と後肢の曲げ伸ばしをしてみる
・正常→嫌がらずに曲げ伸ばしできる
・異常→曲げ伸ばしを嫌がる、痛がる
歩きたがらなくなっていないか?
以前ほど遊ばなくなっていないか?
歩くのが遅くなっていないか?
何となく元気がなくはないか?
脚を触ると痛がらないか?
階段の上りを嫌がらないか?
動作が鈍くなってないか?
自宅で出来るペットの健康管理・ボディチェック まとめ
●愛犬からの不調のサインを見逃さないようにしましょう
動物は、体の不調を人間のように言葉で訴えることができません。犬は痛みや不快感に対して辛抱強く、じっとがまんしてしまうことがよくあります。愛犬の行動やしぐさを普段からよく観察しておくことが、異常を発見するためには大切です。なんとなく食欲がない、遊びに誘ってものってこない、動きが鈍い、いつも以上に甘える、落ち着きがないなど、「いつもと違う」行動をとるときは、注意が必要です。
●日頃からスキンシップをしましょう!
愛犬とのスキンシップは信頼関係を深めるためにも、健康管理のためにも必要です。できれば週に一度は全身をくまなくていねいに触って、ボディチェックを行いましょう。
チェックポイント
「からだ全体」、「眼」、「耳」、「鼻」、「口」、「お尻や陰部周辺」などをチェックしましょう。
→汚れ、ニオイ、痛がる部分はないか、被毛のつやや抜け毛の程度、皮膚の色や状態など、じっくりと観察しましょう。
排泄物のチェック
排泄物は健康のバロメーターです。普段から、尿や便の色、量、回数、ニオイなどを把握して、早期発見に努めましょう
●おやつの与えすぎには注意しましょう!
おやつの量は1日に必要なカロリーの20%以内に抑えるようにしましょう。おやつを与えた分だけ主食の量を減らさないと、カロリーの摂りすぎとなるので注意が必要です。成長段階によって必要な栄養は異なります!
人でも年齢によって必要なカロリーや食事の内容が異なるように、犬でも「子犬」、「成犬」、「高齢犬」、また「痩せている」、「肥満」でも与える食事の内容は異なります。
犬のライフステージ(成長段階)は、
- 成長期(幼犬)
- 維持期(成犬)
- 高齢期(高齢犬)
に分けられており、ライフステージと体型に合わせた食事を与えることが大切です。