新着情報

長者原動物病院の新着情報をお届けします。

ワンちゃんネコちゃんにも血液型があるんです。輸血の際に重要な情報~血液型~

血液は、動物の生命活動に絶対不可欠なものです。血液中には、さまざまな役割を担う細胞や物質が無数に存在し、酸素や栄養の運搬、細菌やウイルスなどの病原体やタンパクに対する免疫機構、出血の際の止血機構など、多岐にわたります。
この血液の働きが失われるような病気や大きな外傷を負った場合、または出血が予想される大きな手術の際などに、輸血が検討されます。
輸血が検討される主な病気
重度な貧血(再生性・非再生性)
血小板減少症
出血が持続する大きな手術
低タンパク血症
播種性血管内凝固症候群(DIC) 等々

治療として輸血が検討された場合に、安全に輸血をおこなう重要なポイントに、血液型があります。

血液型とは

血液型には、実は赤血球型、白血球型、血小板型、血漿型など、様々な型が存在します。この内、輸血をする場合特に重要なものが赤血球型であり、血液型というと一般的に赤血球型のことを示します。
赤血球型は、赤血球の表面にある蛋白(赤血球表面抗原)の違いで分けられます。例えとして、私たち人間の血液型について見てみましょう。

ヒト血液型の分類方式「ABO式」の例

赤血球表面抗原 血漿中自然抗体
A型 A抗原 抗B抗体
B型 B抗原 抗A抗体
AB型 A抗原とB抗原 抗体なし
B型 抗原なし 抗A 抗B抗体

輸血の際、血液型の組み合わせが悪い輸血のことを不適合輸血といいます。不適合輸血をおこなうと輸血副反応を引き起こします。それは、赤血球表面の抗原、血漿中抗体の不適合による免疫反応によるもので、即時性の反応では、赤血球が破壊される「溶血」が起こります。溶血が起こると、赤血球中に含まれる色素によるヘモグロビン血症やヘモグロビン尿症、黄疸、急性腎不全など、命にかかわる危険性があります。また、溶血が起こらない場合でも、アナフィラキシーショックや体の痒み、じんましんなどのアレルギー反応が投与後数分から発症することもあります。

犬と猫にもある血液型

さて、本題の犬と猫の血液型についてです。

犬の血液型
いくつかの分類法が知られていますが、犬赤血球抗原(Dog Erythrocyte Antigens : DEA)による分類が最も一般的です。DEAはこれまで、1~13もの異なる血液型が知られており、各々のDEAが陽性か陰性かで分けられます。なんと、1頭で複数のDEA型を持ちます。
ヒトと異なり、犬の血漿中には自然発生抗体(例 A型のヒトが持つ抗B抗体など)がありませんが、異なる血液型の輸血や咬傷、妊娠により抗体を獲得します。つまり、輸血や出産経験のない犬の初回輸血では、大きな副反応が生じることは少ないですが、2回目以降は厳重な注意が必要となります。
DEAのうち、もっとも抗原性が高い(輸血時に輸血副反応が起きやすい)型がDEA1型で、少なくともDEA1.1、DEA1.2、DEA1.3の3タイプが知られています。さらにこの中で、DEA1.1が最も抗原性が強く、輸血の際は特に問題となります。
DEA1.1(+)の血液をDEA1.1(-)の犬に輸血した場合、DEA1.1(-)の犬の血漿中にDEA1.1(+)に対する抗体が産生されます。特に2回目以降は、抗原抗体反応により溶血などの重篤な副反応が起きてしまいます。
実際の血液型の分布としては、1個体で複数のDEA型を持つため犬種や地域差があるといわれていますが、抗原性のあるDEA1.1(+)を持つ犬は、日本において40~70%との報告があります。

不適合輸血の例

猫の血液型
猫の血液型の分類法は、猫ABシステムとして知られており、A型、B型、AB型の3種類があります。猫の血漿中には、ヒトと同様に自然発生抗体が存在するため、犬とは異なり、初回輸血でも血液型の不適合による重篤な副反応が起きる可能性があります。特にB型の猫は、抗原性の強い抗A型抗体を持つため、急性の溶血反応、新生仔溶血反応など、致死的な反応が起きます。A型の猫も、抗B型抗体を持ちますが、比較的抗原性は弱いです。
実際の血液型の分布としては、A型の遺伝子がB型の遺伝子に対し優勢であるため、A型の猫が多く、B型は少数、AB型は非常に稀です。