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長者原動物病院の新着情報をお届けします。

万一に備えて予防接種と正しい知識を 狂犬病について

狂犬病にかかった犬の様子
もうすぐ春ですね♪♪卒業式や入学式などイベントも多い時期ですが、動物病院では4月から狂犬病予防注射が始まります。今回は、なぜ日本で狂犬病予防注射が義務づけられたのかなど難しい話もありますが、狂犬病についてお話します。

狂犬病とは

狂犬病に感染している動物の唾液中に病原体(狂犬病ウィルス)が含まれ、その動物にかまれると感染します。発症したら100%死亡する恐ろしい病気です。
狂犬病は犬だけの病気と思われがちですが、実は人間を含むすべての哺乳類に感染します。
人では、発熱、食欲不振などの症状から始まり、不安感、恐水及び恐風症状、幻覚、精神錯乱などの神経症状を起こし、昏睡状態に陥り呼吸障害によりほぼ100%が死亡する恐ろしい病気です。
犬では、感染すると狂暴で興奮して甲高い声を上げることが多くみられ、発症後3~15日で死亡します。
現在、日本では、狂犬病の発生はありませんが、海外の多くの国々では、狂犬病は未だ最も恐ろしい人畜共通感染症のひとつに数えられており、年間3万人ほどが狂犬病で亡くなっています。
海外との交流が盛んな現在、日本国内に、いつ狂犬病が侵入してもおかしくない状況です。近年では、2006年にフィリピンを旅行中に犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例があります。
1953年 1954年 1955年 1956年 1970年 2006年
死亡者数 3人 1人 0人 1人 1人(※1) 2人(※2)
犬の発生数 176頭 98頭 23頭 6頭 発生なし 発生なし

※1 ネパールを旅行中、犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例。
※2 フィリピンを旅行中に犬に咬まれ帰国後発病、死亡した輸入症例。

狂犬病予防法

日本国内では、狂犬病予防法が制定される1950年以前、日本国内では多くの犬が狂犬病と診断され、人も狂犬病に感染し死亡していました。このような状況のなか狂犬病の発生を防ぎ、その蔓延を防止し、狂犬病を撲滅する目的で狂犬病予防法が施行され、犬の登録、予防注射、野犬等の拘留が徹底されるようになりました。当初、狂犬病予防接種は春と秋の年に2回の接種が義務付けられておりました。そして、わずか7年という短期間のうちに狂犬病を撲滅するに至り、1997年より年に1回の接種に変更されました。この事例をみても、犬の登録や予防注射が狂犬病予防にいかに重要な役割を果たすかがわかります。
また、集団としての免疫(集団免疫)が70%以上あれば蔓延を防げると言われています。しかし、現在登録されている犬と未登録の犬頭数を合わせた接種率は40%にも満たないというデータもあり、病気の蔓延を防ぐと言われている集団接種率70%には遠く及んでいないという現実があります。

狂犬病予防注射済票

予防注射を受ける度、毎年注射済票を新しく交付されます。注射済票はわんちゃんへの装着が義務付けられているので首輪等に付けるようにしましょう。
[左図:狂犬病予防注射済票(福岡県)]

犬の登録と鑑札

狂犬病予防法では、その他登録についても定められています。
新しく犬の飼い主になる場合、飼い主は犬が家に来た日から30日以内に、(生後90日以内の子犬の場合は、生後90日を経過してから30日以内に)最寄りの市区町村に犬の登録を申請しなければなりません。

犬の所在地を管轄する市区町村が「狂犬病予防法の特例」制度に参加していれば、生後91日齢以上の犬が「犬と猫のマイクロチップ情報登録」から登録を受けた際に、指定登録機関からその市区町村に、登録された犬の情報や所有者情報が通知されます。その通知が狂犬病予防法に基づく登録の申請等とみなされ、装着されたマイクロチップは狂犬病予防法に基づく鑑札とみなされます。狂犬病予防法に基づく登録手数料が別途、必要となる場合もありますので、犬の所在地を管轄する市区町村にお問合せください。

狂犬病は本当に怖い病気ですが予防接種を受けることで感染を防ぐことができます。
4、5月は各自治体によって集合注射を行っていますが、動物病院でも1年を通して注射を打つことができます。(詳しくはお問い合わせ下さい)
大切な家族であるわんちゃんを守るためにも、毎年予防接種を受けるようにしましょう。